5月、お茶は夏の装いです。
これまでお客様の近くにあった炉は閉じて、点前座の左に風炉を置きます。
炉の時期と反対にお客様から火を遠ざけて暑さ避けるという考えですね。
風炉は5月から10月まで、5月が最初の月になり「初風炉」と呼ばれます。
初夏の取り合わせは「青楓」の棗に菖蒲のお茶碗。
棗は筒型に平たい蓋。この形は「金輪寺」と言われ、後醍醐天皇が吉野の金峰山寺で濃茶入として用いられたものとされ、小型の経筒であったと考えられています。
この棗は輪島塗女性作家の作品、欅目に螺鈿の楓が夏を告げます。
掛軸の色紙は「竹為君葉々起清風」(竹は君が為葉々として清風を起こす)。
読みにくいですが、「竹」の字が長く伸び、竹林をイメージできます。
この語は新しくそれぞれの道を歩む人に向けた旅立ちの意もあります。
棚は4月に使った丸窓の「吉野棚」、左側が障子から葦簀に変わります。(写真下)
点前が終わると、柄杓は棚左側にある掛け釘に掛けられます。
お菓子は冷やした「麩まんじゅう」、青のりと笹の香りが爽やか。
お茶席でも感染予防のため、マスクをしてお点前です。お客様も不自由なことが多いですが、お茶で心を和らげ、互いに思いやりを伝えられたらと願います。
お茶がひと時、乾きを潤してくれます。
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